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「白夜行」雑感 :: 2005/11/18(Fri)

4087474399白夜行
東野 圭吾
集英社 2002-05

by G-Tools

お昼休みにチビチビ読んでいく予定だったのに、一気に読み終えてしまいました…。
早く読みたいがために、それまで読んでた「砂の器」下巻後半は斜め読みして。
ああ、ごめんなさい、松本清張さん。
でも喜んでください、清張さん。
素敵なミステリー作家さんが貴方の後を次いでこの平成の世にもいらっしゃいましたよ!


ということで。読みました。以下、ネタばれ。
ネタバレ云々でドラマ公式BBSは議論がなされたようですね。
ネタバレ…って、どのネタのことですか。
少年が父親を殺し、少女が母親を殺したということですか。
一見何の接点もないような二人が、実のところ見えないところで繋がっていたという事実ですか?
それならば、原作ファンの方々、どうぞご安心ください。
その情報を知った上で読んでも、大変面白かったですよ。
そして、その情報も、二人を知る上で決して十分な情報ではないと思います。
それでも、なぜ?どうして?…と思うことが多々あり、読んだ後も、結局真相はわからず仕舞いだったような気がしております。

最後の最後まで、二人の心情は語られることはありませんでしたものね。
過去にこうこうこういったことが二人にあった…という事実らしきものが笹垣により語られてはいますが、それだって彼の推測に過ぎない。
亮司が死んだ後、雪穂が事情聴取されると思いますが、でも、あの人は決して何も語らないと思います。

「全然知らない人です」

最後に亮司に向かって投げたこの台詞。文字に打つだけで状況が思い出されて涙が出てきますが、あの後、生涯にわたって彼女は、亮司を「知らない人」と言い続けるでしょう。
もし、あの時、亮司が生きて捕らえられたとしても、亮司も同じように雪穂を「知らない人」と言い続けるだろうと思います。
二人だけの"あうん"の何かがあるんでしょうね。
幼い頃、あの二人にどんな約束が交わされていたのでしょうか…。

そもそも、いつ、あの二人は出会ったのでしょう。
私個人としては、桐原洋二が雪穂を買う以前に知り合っていたと解釈しています。
同じように本好きな二人が、図書館で出会い、小学校5年生なりにお互いがお互いを好きになっていったのでは…?
そのうちに、忌まわしい出来事が雪穂の母親を通して雪穂に振りかかり、その原因の一端に亮司の父親が大いに関係していると知った時、亮司はどんなにショックだったでしょう。
自分の好きな子を自分の父親が…。
幼い心にどれだけ深い傷を負ったのかを考えると胸が痛みます。
そして、雪穂。雪穂の傷。
考えるだけで忌々しい。悔しい。

「かわいそうに」

大人になった雪穂は、同じ経験をさせられた美佳にそう投げかけます。幼い時の自分に言うかのように。
でも、それも、心から出た気持ちなんでしょうか。
「かわいそうに」の一言じゃすまされないでしょう、だって。
自分の体を、そして自分自身を憎み続けたんでしょう。
あの時、慰められた美佳は雪穂の胸で泣くことができましたが、そういえば、雪穂は泣いたことがあったのかな???
演技で泣くことはあっても、雪穂が心から泣いている姿を想像できない。
自分のことを、淡々と、遠くから、他人事のように客観的に見続けた人生なのかもしれない。
だから、たくさんの悪事を平気でやってのけたのかな。
味わった痛みを忘れたいがために、痛みを感じない人になってしまったのかな。
雪穂の痛みは想像を絶するばかりです。

亮司。亮司は?
エビとハゼでしたっけ。
どうして、雪穂に尽くしたの?表立ってではなく、影となって。
自分が関わることを世に知らせることは、イコール、雪穂が幼児虐待された事実を明らかにしてしまうことだったから?
それだけはなるまい!と必死に隠し通す努力をしてきたの?
それが、亮司の人生のすべて?
だとしたら、どうして雪穂に関わろうとしない人生を選ばなかったの?
なんで?それだけ雪穂が好きだったの?
ああ、そうか。幼い時の気持ちは変わることがなかったんだね。
いつまでも、得意の切り絵でなんとか雪穂を楽しませようとした、あの時の気持ちのままだったのかな。

なんだか、考えれば考えるほど、哀しい二人です。
そんなふうにしてしまった、二人の親たち(亮司の母親も含めて)が憎くて仕方ないです。
どうしてくれるのよ。本当に…。


この本を最後まで読んで思い出したのは、実は、映画「タイタニック」(笑)
あ、このエントリで初めて笑えた(笑)
私はその昔、「タイタニック」に相当はまりました。
あ、別にレオ様好きではないですから(笑)
あの作品で、私が惹かれるのは、ジャックが死んでからのローズの生き方。
ローズおばあちゃん大好き。
それまで、籠の中の鳥だったローズにジャックはもっと人生を楽しんで生きたらいいと言います。
それは、ジャックと一緒に…という願いは、残念ながら叶いませんでした。
けれど、ローズは楽しみましたよ~人生を。めいっぱい。
そうできたのは、何よりもジャックとの4日間があったから。
あのたった4日間の出来事がローズを強くし、生きる力を与えたんです。
人を愛する力もジャックによって得ることができ、結婚し、子供をもうけることもできました。
その生き方に私は感動を覚えます。
人間て、たったそれだけのことで強くなれるのよ。生きていけるのよ。

雪穂視点で考えてばかりで山田ファンさんには申し訳ありませんが(笑)、雪穂は亮司がいなくなった後も、強く生きていくと思います、それまでと同じように。
それが、たとえ嘘と演技で作り上げられた幸福であったとしても、強く生きていくと思います。
なぜなら、それまでと変わらず、雪穂のそばには亮司がいるから…。
そう思えるだけの濃密な時を二人は過ごしたはず。

見えないところで、どんな会話が交わされていたのだろう。
会う場所は決まっていたのかな?
二人だけの場所、っていうのが誰にも知られることなく存在していたのかな?
R・Kイニシャル付きの小物入れを雪穂はどうやって渡したのかな?
二人でいる時、笑顔はあったのかな?

二人の視点で決して描かれることがないこの小説。後は読む人の想像に任せてくれる訳ですから、勝手な解釈大好きな私はウハウハです(笑)
この本は読んだら読んだ人の分だけ解釈があると思います。
ドラマは石丸P、そして森下さん二人の解釈の作品なんでしょう。
この二人だけでも、意見が相当違うんじゃないでしょうか。
ふふふ。大変ですね(笑)
そして、それに加えて、演技オタクの"彼"が口を挟み出したら、ああ、てんやわんやだ(楽しんでる?)
彼は彼なりに、どうしても譲れない亮司像というのを持つことでしょう。
セカチュー6話で「どうしてここで泣いちゃいけないんですか!」と食って掛かったあのやり取りがまた交わされるんでしょう。
石丸P、ガンバッテクダサイね(笑)


ああ、でも、街でサンタクロースを見かけたら、泣いてしまいそうだよ…(アヤシイ)



追記:彼は自殺だったと思いますか?私は思えません。それについてはまた今度(多分)
  1. Book
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comment

自殺じゃない??

初めまして、やまだファンです。私もネタばれ状態、そして「純愛」をインプットされて白夜行読了しました。で、bearさんの感想文にそうそう、とうなづきながら読ませていただきました。事前のスリコミがあったからこそ、妄想爆発で読書を楽しめたことは否めないです。そしてそして、彼は自殺じゃないんですか??え?え?bearさんの解釈、楽しみに待ってます。私もまた読み直してもう一回考えてみよっと。
  1. 2005/11/21(Mon) 21:58:24 |
  2. URL |
  3. チーキー #
  4. [ 編集 ]

チーキーさん、はじめまして。コメントありがとうございます!
「白夜行」ネタばれ状態で読んでも面白い本でしたね。
私はひとまずこれで満足です。
これでドラマが面白ければもうけもん♪てな気持ちです。
ああ、山田ファンさん、申し訳ありません。私も山田ファンですが(笑)

自殺に関しては、チーキーさんはネタばれされていたんですか?
私はこの点に関しては事前情報が入っていなかったので、普通に読んで、読んだ通りに解釈したのが「事故死」でした。
あとで、「自殺説」を知って、逆に驚きました。そんな解釈もあったのかと。
これも、一解釈でアリだと思いますよ。
でも、私はやはり、「事故死」だと思うのです。

> bearさんの解釈、楽しみに待ってます。

楽しみにされると書けなくなるタイプです(プレッシャーに弱い・笑)
なので、ここで書いちゃおっと。長くなりますがご勘弁を。

理由は、ただ単純に、逃げ場を失って飛び降りたのが二階だったということから、二階から飛び降りるくらいじゃ普通は死なない=自殺ではない、と判断しました。
ちなみに、私も子供の頃、二階の高さから飛び降りたことがあります。
ハシゴで上がったものの降りられなくなっちゃって仕方なく飛び降りました。
全然なんともなかったですよ。今、こうして生きてますから(笑)
って、すみません、蛇足でしたね。
とりあえず、普通の成人男子なら、二階から飛び降りたくらいじゃ死なないでしょう。
死んだ原因は、そう、持っていた"鋏"が胸に一刺し……
大切に肌身離さず持っていた彼の分身のような"鋏"が彼の命を奪った、
いえ、「もういいから。十分だから。あとはゆっくりおやすみ…」
と、優しくその壮絶な人生に終止符を打ってくれたんじゃないかと…。
命より大事な人の目の前で…。二人の思い出の"鋏"によって…。

な~んて。もう、ほんと、まったくもって私個人の勝手な解釈であります。
そう勝手に解釈して、勝手に涙が出て出て仕方ありませんでした。
この本は本当に読んだ人それぞれの解釈がありますよね。
ドラマでも、観た人それぞれの解釈に任せる描き方だといいんですが。
  1. 2005/11/21(Mon) 23:45:30 |
  2. URL |
  3. bear #
  4. [ 編集 ]

ありがとうございます

bearさん、早っ!
早速のお返事、ありがとうございます。って、私が催促してしまったんですよね、初コメントなのに図々しくてスミマセンでした。
bearさん的解釈面白く読ませていただきましたよ。そうかぁ、なるほど・・・・。私の「自殺」っていう思い込みは、とても短絡的だったなぁと思い直し。勝手に「リョウは不幸な人」→「自殺」 「雪穂のため」→「自殺」と思いこんでました。でももう一回最期を読み直して考えると、大切な雪穂の店でしかも開店の日に泥を塗るような、「自殺」なんてしないかなぁ・・・とも思いました。大体、笹垣がくることは、予想してたかもしれないですよね、その前に篠塚と一緒に笹垣は雪穂に会ってるわけだし。そして、「自殺」より、「事故死」のほうが、いや両方せつないですが、運命に翻弄された感が一層際立ち、よりせつないかも・・・・ああ私も今年のクリスマスはサンタさんを見るたびに泣いてしまう・・・・に1票です。
  1. 2005/11/24(Thu) 13:54:13 |
  2. URL |
  3. チーキー #
  4. [ 編集 ]

チーキーさん

今度のレスは「遅っ!」…ですみません(苦笑)
いえいえ、独り言に反応していただいて、かえってありがとうございました。
「自殺か事故か」についてはいつか書きたいと思っていたので、
機会を早々与えてくださったチーキーさんに感謝です。
「今度語る」と言いつつ、私のことですから「今度」と「オバケ」は出ない可能性が大いにありますから(笑)

> 大切な雪穂の店でしかも開店の日に泥を塗るような、「自殺」なんてしないかなぁ・・・とも思いました。大体、笹垣がくることは、予想してたかもしれないですよね、その前に篠塚と一緒に笹垣は雪穂に会ってるわけだし。

チーキーさんのこのコメントを読んで、うんうんと頷きました。
いえ、自殺か事故かの問題以前に、笹垣がくることが分かっていながら、あの場になんとしても居たかった亮司の気持ちを考えたら、なんだか無性に切なくなりましたー。
そうですよね。笹垣の手はもうすぐそこまで来てるって分かってたんですものね。
それなのに、あえて亮司は雪穂のそばに居た。
いや、もしかしたら、この時だけじゃないのかもしれない。
亮司はいつも、こんなふうにそっと雪穂のそばに居たのかなって。
文章では語られることがなかったけれども、
あの時も、この時も、きっと二人は近くに、二人だけが分かる方法でそばにいたんだろうな。
…なんて、またまたイケナイ妄想癖に走ってしまいました(笑)
  1. 2005/11/27(Sun) 23:55:29 |
  2. URL |
  3. bear #
  4. [ 編集 ]

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